平成18年度春期 基本情報 問21−40 解答編





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基本情報

(基本情報技術者試験)

解答と解説のページです。

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問21 外部割込みの原因となるものはどれか。
ゼロによる除算命令の実行
存在しない命令コードの実行
タイマによる時間経過の通知
ページフォールトの発生
解答
解説 割込みには、大きく分けて、内部割込みと外部割込みがあり、ア、イ、エのようなシステムの割り込みは内部割込みといいます。逆に、入出力動作の終了や電圧異常などは外部割込みに該当します。

問22 キャッシュメモリに関する記述のうち、適切なものはどれか。
書き込み命令が実行されたときに、キャッシュメモリと主記憶の両方を書き換える方式と、キャッシュメモリだけを書き換えておき、主記憶の書換えはキャッシュから当該データが追い出されたときに行う方式とがある。
キャッシュメモリは、実記憶と仮想記憶のメモリ容量の差を埋めるために採用される。
主記憶へのアクセスでキャッシュメモリにヒットしないと割込みが生じ、プログラムによって主記憶からキャッシュメモリにデータが転送される。
半導体メモリのアクセス速度の向上が著しいので、キャッシュメモリの必要性は減っている。
解答
解説 キャッシュメモリは、主記憶とCPUのレジスタの速度の差を埋めるために用いられるものです。データをキャッシュメモリと主記憶の同時に書き込むライトスルー方式と、退避するときのみ書き込むライトバック方式があります。

キャッシュメモリにない場合は、主記憶からロードされますが、割り込みを使ったプログラムによるロードではありません。

問23 ECCメモリで、2ビットの誤り検出し、1ビットの誤りを訂正するために用いられるものはどれか。
偶数パリティ
垂直パリティ
チェックサム
ハミング符号
解答
解説 まず、ECC(Error Check and Correct)メモリとはデータの誤りを検出し訂正する機能を持ったメモリをいいます。その訂正手法についての問題です。

代表的な誤り制御方式を下にまとめます。

奇数パリティ:1(あるいは0)の個数が奇数個になるように、1ビットを付加するもの
奇数パリティ:1(あるいは0)の個数が偶数個になるように、1ビットを付加するもの
水平パリティ:転送を2次元の配列とみなしたときに、水平方向へのパリティを付加するもの。垂直パリティと合わせて利用されることが多い。
チェックサム:送信データを数値に対応させ、その合計を計算し付加するもの。
ハミング符号:2ビットの誤り検出と、1ビットの誤り訂正機能を持つ
巡回冗長検査(CRC):送信列から生成多項式とよばれる式をつくり、受信側で計算式の余りが0かどうかを調べる。

問24 500バイトのセクタ8個を1ブロックとして、ブロック単位でファイルの領域を割り当てて管理しているシステムがある。2,000バイト及び9,000バイトのファイルを保存するとき、これら二つのファイルに割り当てられるセクタ数の合計は幾らか。ここで、ディレクトリなどの管理情報が占めるセクタは考慮しないものとする。
22
26
28
32
解答
解説 まず、1ブロック=8セクタ=4000バイトが記録単位です。

2000バイトのほうは、1ブロックあれば足りるので8セクタ必要です。
9000バイトのほうは、3ブロック必要なので、24セクタ必要です。

よって、8+24=32セクタ(4ブロック)記録するのに必要となります。

問25 USBの特徴に関する記述として、適切なものはどれか。
PCなどの小型コンピュータと、磁気ディスク、レーザプリンタなどの周辺機器を接続するパラレルインタフェースである。
音声や映像など、リアルタイム性の必要なデータ転送に適した高速な転送方式を採用しており、FireWireとも呼ばれている。
シリアルインタフェースであり、元来はモデムを接続する規格であったが、PCと周辺機器を接続するのにも使われる。
三つのデータ転送モードがあり、外付け磁気ディスクはハイスピードモード、プリンタやスキャナはフルスピードモード、キーボードやマウスはロースピードモードで使用される。
解答
解説 USB(Universal Serial Bus)は現在最も主流な周辺機器をパソコンに接続するインタフェースの一種です。中でもUSB2.0というのが最も主流で、従来のUSB1.1で利用できたロースピードモード、フルスピードモードに、ハイスピードモードを追加したものです。なお、USB1.1とUSB2.0は互換性があります。

選択肢アはSCSIの説明です。
選択肢イはIEEE1394の説明です。
選択肢ウはRS−232Cの説明です。

問26 コンピュータは、入力、記憶、演算、制御及び出力の五つの機能を実現する各装置から構成される。命令はどの装置から取り出され、どの装置で解釈されるか。
画像(問26ans)を表示できません
解答
解説 コンピュータの5大装置に関する問題です。それぞれの装置を下にまとめます。

入力装置:コンピュータにデータを入力するための装置(例:キーボード、マウス)
記憶装置:データを保存しておく装置(例:主記憶)。HDDなどは、補助記憶装置などと呼ばれる場合もある
演算装置:計算を行う装置
制御装置:ほかの装置の制御やデータの流れを管理する装置
出力装置:データを人間にわかるように出力する装置(例:プリンタ、ディスプレイ)

CPU等は処理装置と呼ばれ、演算装置と制御装置をあわせたものになります。

プログラムやデータは常に主記憶などの記憶装置から呼び出され、制御装置で命令の解釈が行われた後に、演算装置で計算が行われ、結果が記憶装置に戻されます。

問27 仮想記憶におけるページ置換えアルゴリズムとしてFIFO方式を採用する。主記憶のページ枠が3で、プログラムが参照するページ番号の順序が、4 → 3 → 2 → 1 → 3 → 5 → 2のとき、ページインは何回行われるか。ここで、初期状態では、主記憶には何も読み込まれていないものとする。
解答
解説 順番にトレースしていきます。

@4(ページイン)
A3,4(ページイン)
B2,3,4(ページイン)
C1,2,3(ページイン)
D1,2,3
E5,1,2(ページイン)
F5,1,2

よって、5回が正解となります。

問28 特定のタスクがCPU資源の割当てを待ち続ける可能性が高いタスクスケジューリング方式はどれか。
各タスクの優先度を決めて、優先度が高い順に実行するが、CPU割当てまでの待ち時間の長さに応じて優先度を徐々に上げていく。
各タスクをCPU待ち行列に置かれた順に実行し、一定時間が経過したら実行を中断してCPU待ち行列の最後尾に加える。
処理予定時間が最も短いタスクから処理を実行する。現在実行中の処理が完結するか、又は何らかの要因によって中断されたとき、次のタスクを開始する。
タスクがシステムに到着した順に実行可能待ち行列の最後尾に加え、常に実行可能待ち行列の先頭のタスクにCPUを割り当てる。
解答
解説 それぞれのスケジューリング方式の待たされるタスクについて順に見ていきます。

選択肢ア(優先順位方式):単純に優先度の高いものを実行すると、待ち続けるタスクが発生するが、待った時間に応じて優先順位を上げる(エイジング)を行うことでこれを回避しています。
選択肢イ(ラウンドロビン方式):タスクの切り替えに多少のオーバヘッドがかかりますが、すべてのタスクに順番にCPUの使用権がわたります。
選択肢ウ(処理時間順方式):常に自分よりも処理時間の短いものが投入され続ける限り、そのタスクはまたされ続けます。
選択肢エ(到着順方式):リアルタイム性は失われますが、投入したタスクはいつかは処理してもらえます。

いつまでも投入したジョブが実行されないことをスタベーションといいます。

問29 次の条件で印刷処理を行う場合に、スプールファイルの全容量は最低何Mバイト必要か。

[条件]
(1) 同一ジョブを4回連続して、多重度1で実行する。
(2) ジョブの単独での実行時間は20分である。
(3) 単独でのジョブは、実行時に400Mバイトの印刷用スプールファイルを確保し、そこに印刷データを出力する。
(4) ジョブ実行後、スプールファイルの内容がOSの印刷機能によって処理される。
(5) 印刷が完了すると、OSはスプールファイルを削除する。ここで、削除時間は考慮しないものとする。
(6) プリンタは1台であり、印刷速度は100Mバイト当たり10分である。
(7) ジョブの実行と印刷処理は並行動作可能で、互いに影響を及ぼさないものとする。
400
800
1,200
1,600
解答
解説 問題文を一度まとめてみましょう
@ジョブは20分おきに、4回投入される
A1つのジョブは、400Mバイトの領域を確保し100Mバイトずつ40分かけて印刷をする
B最もこの容量が最大になるときは何Mバイトか

それでは、ジョブを追いかけながら容量を計算していきます。

@(開始から0分後:ジョブ1が投入される(400MB使用)
A(開始から20分後):ジョブ2が投入される。ジョブ1が半分まで処理される(600MB使用)
B(開始から40分後):ジョブ3が投入される。ジョブ2が処理を開始する。ジョブ1が完了する(800MB使用)
C(開始から60分後):ジョブ4が投入される。ジョブ3は待ち状態。ジョブ2は半分まで処理される(1200MB使用)
D(開始から80分後):ジョブ4は待ち状態。ジョブ3が処理を開始する。ジョブ2は処理を完了する(800MB使用)
E(開始から120分後):ジョブ4は処理を開始する。ジョブ3は処理を完了する(400MB使用)
F(開始から160分後):ジョブ4は処理を完了する。

よって、最も使用するのは、1200MBととなります。

問30 OSにおけるAPI(Application Program Interface)の説明として、適切なものはどれか。
アプリケーションがハードウェアを直接操作して、各種機能を実現するための仕組みである。
アプリケーションから、OSが用意する各種機能を利用するための仕組みである。
複数のアプリケーション間でネットワークを介して通信する仕組みである。
利用者の利便性を図るために、各アプリケーションのメニュー項目を統一する仕組みである。
解答
解説 APIとはOSにあらかじめ準備されているインタフェース群(関数)のことで、各アプリケーションはAPIを通じてOSの機能を利用することができ、これにより、簡潔なプログラムを書くことなどができるようになります。

問31 スループットに関する記述のうち、適切なものはどれか。
ジョブとジョブの実行の間にオペレータが介入することによってシステムに遊休時間が生じても、スループットには影響を及ぼさない。
スループットはCPU性能の指標であり、入出力の速度、オーバヘッド時間などによって影響を受けない。
多重プログラミングはターンアラウンドタイムの短縮に貢献するが、スループットの貢献にはあまり役立たない。
プリンタへの出力を一時的に磁気ディスク装置へ保存するスプーリングは、スループットの向上に役立つ。
解答
解説 スループットは単位時間当たりの処理量のことです。遊休時間があるとスループットは低下しますし、ターンアラウンドタイムが短縮するということは、スループットが向上するということにつながります。また、スプーリングはスループットを向上させる代表的な技術の一つです。

問32 稼働率が最も高いシステム構成はどれか。ここで、並列に接続したシステムは、少なくともそのうちのどれか一つが稼動していればよいものとする。
稼働率70%の同一システムを四つ並列に接続
稼働率80%の同一システムを三つ並列に接続
稼働率90%の同一システムを二つ並列に接続
稼働率99%の単一システム
解答
解説 少なくとも1つは稼動していればよいということなので、稼働率は下のようになります。

@1−4台とも稼動していない確率=1−(1−0.7)4=0.9919
A1−3台とも稼動していない確率=1−(1−0.8)3=0.992
B1−2台とも稼動していない確率=1−(1−0.9)2=0.99
C0.99

よって、選択肢イが最も高い稼働率になることがわかります。

問33 工作機械をマイクロコンピュータで制御するときの処置のうち、フェールセーフを考慮したものはどれか。
異常動作の信号を検知したときは、自動的に停止するようにした。
機能ごとの部品を交換しやすくして、修復時間を極力短くした。
部品の一部が故障しても、できるだけ停止しないで処理を続けるようにした。
万一に備えて、メーカの保守担当部門とのホットラインを設けた
解答
解説 重要なシステム設計法についてまとめて起きます。

フォールトトレラント:障害時に全体が停止するということなく、動作し続けるようなシステムを設計するもの。
フォールトアボイダンス:システムの構成要素の信頼性を高め, 元から故障が極力発生しないように設計すること。
フェールセーフ:障害が発生した場合、常に安全側に制御・停止すること。
フェールソフト:障害が発生した場合、故障した個所を切り離すなどして、稼動を続けること。
フールプルーフ:ユーザが誤った操作をした場合、危険に晒されることがないように、事前に安全策を行うこと。

問34 RASISに関する記述のうち、可用性(アベイラビリティ)を説明したものはどれか。
機能単位の寿命の範囲内で、一定期間における修理保守に要する平均時間を測定する。
コンピュータシステムにおける問題の判断、診断、修理などを効果的に行う。
コンピュータシステムを必要に応じていつでも使用できる状態に維持する。
不正なアクセスによって、コンピュータシステムが破壊されたり、データを盗まれたりしないように、防止策を考える。
解答
解説 RASISについて下にまとめます。

Reliability:(信頼性):故障しにくい性質(MTBFに相当)
Availability:(可用性):いつでも使える性質(稼働率=MTBF/(MTBF+MTTR)に相当)
Serviceability:(保守性):故障をすぐに修復できる性質(MTTRに相当)
Integrity:(保全性):データが一貫しており、矛盾がない性質
Security:(安全性):機密性が高く、不正にアクセスされない性質

問35 ADSLの特徴として、適切なものはどれか。
アナログ電話とデータ通信とで使用する周波数帯域を分けることによって、両者の同時利用を可能としている。
スプリッタを用いてアナログ電話とPCを同時利用する場合には、PCだけの単独利用に比べ、通信速度が低下する。
上り(利用者から通信局への方向)と下りの通信速度が異なり、上がりのデータ量が多い通信アプリケーションに適している。
複数の64kビット/秒のチャネルを束ねて伝送に用いることによって、高速通信を実現している。
解答
解説 ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line):非対称ディジタル加入者線はアップロードとダウンロードの速度が非対称(ダウンロードのほうが高速)なDSLの一種です。

選択肢エはISDNの説明です。

問36 プログラムの制御構文のうち、while型の繰返し構造はどれか。
画像(問36ans)を表示できません
解答
解説 基本的な制御構文に関する問題です。

選択肢アは、if-else文です。条件で処理を分けたいときに利用します。
選択肢イは、do-while文です。必ず1回は処理を行うという性質があります。
選択肢ウは、if文です。条件のときだけ処理をさせたいときに利用します。 選択肢エは、while文です。条件によっては、一度も処理を行わない可能性があります。

問37 コンパイラで構文解析した結果の表現方式の一つに四つ組形式がある。

(演算子、被演算子1、被演算子2、結果)

この形式は、被演算子1と被演算子2に演算子を作用させたものが結果であることを表す。次の一連の四つ組は、どの式を構文解析した結果か。ここで、T1、T2、T3は一時変数を表す。

(*、B、C、T1
(/、T1、D、T2
(+、A、T2、T3

A+B*C/D
A+B*C/T2
B*C+A/D
B*C+T1/D
解答
解説 わかりやすく下にまとめます。

1=B*C
2=T1/D=B*C/D
3=A+T2=A+B*C/D

よって、これは、選択肢アの式と一致します。

問38 E−R図が示すものはどれか。
エンティティ間の関連
エンティティのタイプとインスタンスの関係
データとプロセスの関連
プロセス間の関連
解答
解説 E−R図はエンティティ(実体)とエンティティ間のリレーションシップ(関連)で構成されており、各エンティティ間の関係は1対1、1対多、多対1、多対多の4つで表され、関係データベースを作成する際に用いられたりします

問39 UMLのクラス図において、集約の関係にあるクラスはどれか。

画像(問39)を表示できません
クラスAとクラスB
クラスAとクラスC
クラスBとクラスD
クラスCとクラスD
解答
解説 UMLにおけるクラス図の記述法についてですが、クラスCからクラスAの線は、『集約/分解』をあらわします。クラスCからクラスDへの線は、『特化/汎化』


問40 オブジェクト指向における、開かれた(ホワイトボックス型)再利用とは、基底クラスに対して、サブクラスを作ることによって、基底クラスのデータや機能を再利用することである。この方式のオブジェクト指向の再利用技術に関する記述のうち、最適なものはどれか。
基底クラスで定義したデータが保護されるので、安全性の高いプログラムが開発できる。
基底クラスで定義したデータや機能に対する差異をサブクラスに記述すればよく、開発効率が良い。
基底クラスの変更は、サブクラスに影響しない。
基底クラスを複数のアプリケーション開発に利用することはできるが、そのサブクラスを再利用することはできない。
解答
解説 基底クラス(親クラス)とは、サブクラス(子クラス)の元となるスーパークラスのことをいいます。サブクラスは基底クラスを継承することで、サブクラスは、基底クラスの部分を作成する手間を省くことができます。基底クラスを変更するとそれを継承しているサブクラスにも影響ができます。(必要があればオーバーライドなどをしてサブクラスでメソッドを再定義することもできます。)