平成16年度 春期 ソフトウェア開発技術者試験 問21−40 解答編




このページは

ソフ開

(ソフトウェア開発技術者試験)

解答と解説のページです。

問題だけで勉強したい方は目次へ戻ってください



問21 PCIのユニバーサルカードの規格の内容として、適切なものはどれか。
5Vと3.3Vの両方のバスに対応したカード
64ビットと32ビットの両方のデータ幅に対応したカード
66MHzと33MHzの両方の転送速度に対応したカード
ロープロファイルPCIと標準PCIの両方の大きさに対応したカード
解答
解説 ISAバスの後継であるPCIは、大きく分けて、バス幅、速度、電圧などの要素において拡張が行われました。その中でも2つの電圧に対応できる用にしたものをユニバーサルカードといいます。ユニバーサルカードは64ビット、66MHzのみに対応しています。現在はさらに拡張された、PCI Expressというものが主流となっています。

問22 PDP(プラズマディスプレイパネル)に採用されている発光方式の説明として、適切なものはどれか。
ガス放電に伴う発光を利用する。
画面の各ドットを薄膜トランジスタで制御する。
電圧を加えると発光する有機化合物を用いている。
電子銃から電子ビームを発射し、蛍光体に当てて発光させる。
解答
解説 ディスプレイに関する問題の出題率は高いので、以下にまとめます。

CRT:いわゆる普通のブラウン管のディスプレイ。電子ビームと偏光版を使って画像を作ります。(選択肢エに相当)
PDP:PはプラズマのPで、高い電力が必要となります。(選択肢アに相当)
TFT:TはトランジスタのTで、1つ1つの画素をトランジスタの発光で実現しています。(選択肢イに相当)
有機EL:自らの発光でバックライトの不要なタイプ。次世代に期待されています。(選択肢ウに相当)
液晶:光の透過を画素ごとに制御し、カラーフィルタを用いて色を表現する。自ら発光はしない

問23 ある画像を600dpiのスキャナで入力し、画素数を変えずに200dpiのプリンタで出力した。このときの入力画像と印刷結果の面積比はどれか。
1:3
1:9
3:1
9:1
解答
解説 dpiは(dot per inch)の略で1インチ当たりどの程度のドットを表現できるかの単位です。入力は1インチ平方当たり、600×600画素必要ですが、出力では200×200画素しか表せません。よって、200×200×9=600×600なので、9倍して入力画素と同じ大きさになるといえます。

問24 ページング方式の仮想記憶において、ページテーブルから得られる情報はどれか。
そのコンピュータに実装されている主記憶の容量
プログラムが割り付けられている仮想アドレス
ページが主記憶にロードされた時刻
ページが割り付けられている主記憶の実アドレス
解答
解説 仮想記憶とは、HDDの一部をメインメモリのように利用する技術のことで、そのデータの単位をページと言います。このページを入れ替えたりするページングといいます。そのため、ページングを行うためのテーブルでは、実メモリと仮想メモリとの対応付けを情報としてもっておく必要があります。

問25 仮想記憶管理におけるページ置換えアルゴリズムとして、LRU方式を採用する。参照かつ更新されるページ番号の順番が、2 → 3 → 5 → 8 → 2 → 3 → 6 → 2 → 3 → 5 → 1 → 6で、実記憶のページ枠が4のとき、ページフォールトに伴って発生するページアウトは何回か。ここで、初期状態では、実記憶にはいずれのページも読み込まれていないものとする。
解答
解説 LRU(Least Recently Used):最後に参照されてから最も時間が経過したものから順に置き換えるアルゴリズムです。

左側に行くほど古いデータとすると以下のようになります。
1.<2>
2.<2,3>
3.<2,3,5>
4.<2,3,5,8>
5.<3,5,8,2>
6.<5,8,2,3>
7.<8,2,3,6>(1回目:5がページアウト)
8.<8,3,6,2>
9.<8,6,2,3>
10.<6,2,3,5>(2回目:8がページアウト)
11.<2,3,5,1>(3回目:6がページアウト)
12.<3.5.1.6>(4回目:2がページアウト)

上記のように4回のページアウトが発生します。

問26 ジョブA〜Eに対して、ジョブの多重度が1で、処理時間順方式のスケジューリングを適応した場合、ジョブBのターンアラウンドタイムは何秒か。ここで、OSのオーバヘッドは考慮しないものとする。

画像(問26)を表示できません
10
11
解答
解説 処理時間順とは、処理時間が最も短いものから順に処理していく方法です。処理の短いものはすぐに処理される反面、処理の長いものはいつまでたっても処理が始まらないというデメリットもあります。

時間0:ジョブAが到着し、ジョブAが処理される。
時間1:ジョブBが到着。
時間2:ジョブCが到着し、ジョブAが終了する。処理時間B>Cにより、ジョブCが実行される。
時間3:ジョブDが到着する。
時間4:ジョブEが到着する。
時間6:ジョブCが終了する。処理時間B>D>Eにより、ジョブEが実行される。
時間7:ジョブEが終了する。処理時間B>Dにより、ジョブDが実行される。
時間9:ジョブDが終了する。ジョブBが実行される。
時間12:ジョブBが終了する。

ジョブBは1に到着し、12に終了したので、12−1で11秒かかったといえます。

問27 並行プロセス環境において、デッドロックが発生する原因とならないものはどれか。
一度割り当てられた資源は、プロセスがその使用を終了するまで強制的には取り上げられない。
すべてのプロセスには、決められた順序に従って資源が割り当てられる。
プロセスがほかのプロセスを待ち合うという関係が、環状になっている。
プロセスは、一つの資源を占有しながらほかの資源へ要求を出す。
解答
解説 デッドロックとは、以下のように、互いにデータを占有しながら別のタスクがロックしているデータにアクセスした際に、互いに処理が進まなくなる現象をいいます。

デッドロックを表示できません

そのため、プロセスが資源を解放する前に、別の資源に要求を出すような状況があるとデッドロックが発生する可能性があります。逆に言えば、すべてのデータが順序良くアクセスされる場合、あるいは占有ロックを行わない場合にはデッドロックは発生しません。

問28 磁気ディスク装置において、ファイルの書込みや削除を繰り返したところ、ファイルのフラグメンテーション(断片化)が発生した。この状況に関する記述のうち、適切なものはどれか。
フラグメンテーションが進行すると、個々のファイルのサイズは増大していくので、磁気ディスク装置の利用率は低下していく。
フラグメンテーションが発生したファイルを更にコピーした場合、コピー先でフラグメンテーションが進行することはあっても解消することはない。
フラグメンテーションを解消するには、専用ツールなどを使用して、フラグメンテーションが発生したファイルを連続した領域に再配置すればよい。
フラグメンテーションを解消するには、複数のファイルを集めて一つのファイルにし、全体のファイル数を減らせばよい。
解答
解説 フラグメンテーションとは、ファイルの格納場所が断片化(HDDの様々な部分に格納される)、ファイルを読み出すのに時間がかかることをいいます。これはHDD上の連続した領域に再配置する(デフラグメンテーション)することで解決できます。

また、HDDにばらばらに配置されているだけなので、基本的に容量は変わりません。また、別のHDDなどにコピー/移動をしたときなどには、ファイルを集めて、別のHDDに書き込むので、フラグメンテーションが解消されることがあります。

問29 表に示した特徴をもつ、OSの記憶管理機能a〜cに対応する適切な組み合わせはどれか。

画像(問29)を表示できません
画像(問29ans)を表示できません
解答
解説 用語は問題文にあるとおりですが、まとめると下のようになります。

オーバレイ:大きな容量のプログラムを主記憶上で使うための入れ替えの仕組みのこと。
ページング:仮想記憶において、メインメモリへのデータの出し入れをすること。
スワッピング:仮想記憶方式におけるデータの入れ替え(スワップインとスワップアウト)を行うこと

問30 表に示すファイルの項目のうち、“修得外国語”をキーとする転置ファイル(inverted file)を考えたとき、メンバ数の最大値は幾らか。

画像(問30)を表示できません
解答
解説 転置ファイルとは、どのレコードに含まれるかを表した索引ファイルのことを言います。

つまり、修得外国語は
英語=1002,1024,1046,1079
独語=1013
仏語=1035,1057,1068
となり、最大メンバ数は英語の4となります。


問31 3層クライアントサーバを構成する各層を、クライアント側に近い順に並べてものはどれか。
ファンクション層、データベースアクセス層、プレゼンテーション層
ファンクション層、プレゼンテーション層、データベースアクセス層
プレゼンテーション層、データベースアクセス層、ファンクション層
プレゼンテーション層、ファンクション層、データベースアクセス層
解答
解説 サーバとはサービスを提供するもので、クライアントとはサービスを依頼する(受け取る)ものです。

2層:サーバとクライアントの2つ
3層:プレゼンテーション層・ファンクション層(アプリケーション層)・データベース層の3つ。
プレゼンテーション層がクライアントに該当する部分で、ファンクション層とデータベース層がサーバに該当する部分になります。

問32 複数の同種のプロセッサが主記憶を共有することによって処理能力を高めるコンピュータシステムの構成はどれか。
オーバドライブプロセッサ
コプロセッサ
疎結合マルチプロセッサ
密結合マルチプロセッサ
解答
解説 複数のCPUが主記憶やOS、データを共有する形態を密結合マルチプロセッサといいます。逆に、各々のCPUが占有の主記憶、OS、データをもち、バスで接続されている形態を疎結合マルチプロセッサといいます。

オーバードライブプロセッサとは、インテル社が自社のCPUの性能を上げるために販売していたものです。
コプロセッサとは、特定の分野に特化した補助プロセッサをいいます。

問33 分散処理システムを構築する際のネットワーク透過性に関する記述のうち、適切なものはどれか。
OSやアプリケーションの構成に影響を与えることなくシステムの規模を変更できることを、規模透過性という。
システムの信頼性や性能の向上のためにファイルの複数物をもつことを、性能透過性という。
ネットワークに接続されている異なる種類の資源に対して、同一方法でアクセスできることを、並行透過性という。
ネットワークに接続されている資源に対して、その存在位置を意識することなくアクセスできることを、アクセス透過性という。
解答
解説 透過性とは、ユーザから内部の構造を隠しあたかもそこに存在しているかのようにして、存在を意識させない性質をいいます。ネットワークやDBで用いられるもので、【位置透過性、アクセス透過性、規模透過性、セキュリティ透過性』などがあります。

選択肢イは、性能透過性の説明です。
選択肢ウは、アクセス透過性の説明です。
選択肢エは、位置透過性の説明です。

問34 コンピュータによる伝票処理システムがある。このシステムは、伝票をためる待ち行列モデルをもち、そのたまる数に制限はなく、次のような平均処理時間がT秒であるM/M/1の待ち行列モデルが適用できるものとする。平均待ち行列時間がT秒以上となるのは、処理装置の利用率が何%以上となったときか。

・伝票は、歩亜損分布に従って発生する。
・1件の伝票の処理時間は、平均T秒の指数分布に従う
33
50
67
80
解答
解説 まず、待ち行列モデル(M/M/1モデル)を以下に図示します。

MM1モデルを表示できません

平均待ち時間Wは窓口利用率ρ×T/(1−ρ)となります。
今WはT以上であるとされるので、T≦ρ×T/(1−ρ)より、1≦ρ/(1−ρ)となり、1−ρ=ρによりρ=1/2が導けます。

問35 ベンチマークテストSPECintで示される評価値はどれか。
基準マシンと比較した処理時間の相対値
ターンアラウンドタイム
単位時間当たりのトランザクション処理件数
プロセッサ、主記憶、入出力の装置ごとの性能値
解答
解説 ベンチマークテストは、標準的なプログラムを実行してそれにかかった時間や精度などで、そのコンピュータの性能を(原則としては相対的に)評価します。代表的なテストとしては、SPECint(整数の演算)やSPECfp(浮動小数点の演算)などがあります。

問36 スループットに関する記述として、適切なものはどれか。
ジョブがシステムに投入されてからその結果が完全に得られるまでの経過時間のことであり、入出力の速度やオーバヘッド時間などに影響される。
ジョブの稼働率のことであり、“ジョブの稼働時間÷運用時間”で求められる。
ジョブの同時実行可能数のことであり、使用されるシステムの資源によって上限が決まる。
単位時間内におけるジョブの処理件数のことであり、スプーリングはスループットの向上に役立つ
解答
解説 スループットとは、単位時間当たりの処理量のことで、スプーリングとは、一度高速な磁気ディスクなどに蓄えておき、その後出力することで、処理効率を上げる方式です。なお、選択肢アは、ターンアラウンドタイムの説明です。

問37 二つの装置がともに稼動しているときに全体として稼動するシステムがある。各装置のMTBFがそれぞれ270時間、540時間であるとき、このシステム全体のMTBFはおよそ何時間か。
150
180
270
405
解答
解説 まず、MTBF(Mean Time Between Failure:平均故障間隔)は、故障が起きる間隔なので、故障率は1/MTBFとなります。つまり、各故障率は1/270と1/540となります。
このシステムは、両方が稼動していなければならないので、稼働率は(1−1/270)×(1−1/540)≒0.9963×0.9981≒0.9944となります。
故障率は1−0.9944で求められるので、0.0056となります。
最後に、MTBF=1/故障率でMTBFを求めると約180となります。

問38 故障率1.0×10-6(回/秒)の機器、1,000台が稼動している。200時間経過後に、故障していない機器の平均台数に最も近いものはどれか。

必要であれば、故障率をλ回/秒、稼働時間をt秒とする次の指標関数のグラフから値を読み取って、計算に使用してよい



画像(問38)を表示できません
50
500
950
995
解答
解説 x軸をみると、λtとなっているので、λ(故障発生率)×t(稼働時間)で求められることが分かります。よって、1.0×10-6[λ]×200時間[t]により、0.000001×200×3600=0.72[λt]となります。x軸の0.72のところを上に見ていき関数とぶつかる所を左に見ていくとy軸の0.5のあたりになります。よって、稼働率は0.5となり、1000台の0.5で500台が稼働していると予想できます。

問39 インターネットで用いられるMIMEの説明として、適切なものはどれか。
Web上でのハイパテキストの記述言語である。
インターネット上のクライアントとサーバとの間のデータ転送プロトコルである。
インターネット上の資源を一意に識別するアドレス記述方式である。
電子メールで音声や画像などのマルチメディア情報を取り扱えるようにする規格である。
解答
解説 MIME(Multipurpose Internet Mail Extensions)とは、本来アスキーコードしか電子メールで様々なフォーマットを取り扱えるようにしたものです。MIMEにセキュリティ機能を追加したS/MIMEというのもあります。

選択肢アは、HTML、SGMLなどの説明です。 選択肢イは、FTP,UDPなどの説明です。
選択肢ウは、URLの説明です。

問40 データマイニングツールに関する記述として、最も適切なものはどれか。
企業内で発生する情報を主題ごとに時系列で蓄積することによって、既存の情報システムだけでは得られない情報を提供する。
集計データを迅速かつ用意に表示するなど、利用者に対して様々な情報分析機能を提供する。
大量に蓄積されたデータに対して統計処理などを行い、法則性の発見を支援する。
利用者が情報を利用するための目的別データベースであり、あらかじめ集計処理などを施しておくことによって検索時間を短縮する。
解答
解説 データマイニングとは、データベースに蓄積されている大量の生データに対し、統計やパターン認識などの手法を用いることによって、認識されていなかった規則性や関係性を導き出す技術です。また、意思決定を支援したり、データマイニングツール等で利用するための大量のデータが蓄積しているデータベースをデータウェアハウスといいます。

選択肢アは、データウェアハウスの説明です。
選択肢イは、OLAP(online analytical processing)の説明です。
選択肢エは、データマート(データウェアハウスの中から特定の目的に合わせた部分を取り出したもの)の説明です。